生活道路における運転行動モデリングでは,天候や時間帯,道路幅など,運転の状況(以下,コンテクストと総称)が熟練ドライバの危険予知運転行動に与える影響を考慮することが鍵を握ります.そこで本研究では学習データに存在しない運転状況における正確な運転行動予測が可能なモデルを開発しています.
この枠組では,運転時のコンテクストを符号化し,道路の幾何形状に基づく報酬関数と交互作用を考慮したモデルとして定式化されます.このことで複数の状況に応じて報酬場を調整する枠組になり,その結果,運転行動の予測性能の大幅な改善が可能になります.本研究では,複数のコース全長100kmを超える走行データを用いて性能評価実験を実施しております.実験結果からは.データ数が少ないコンテクストや未知のコンテクストに対しても,提案手法の予測結果が熟練ドライバーの走行データに最も類似していることを確認することができました.
交互作用を考慮するとパラメータが増大となり,学習結果が不安定になる問題があるため,エラスティックネットによる正則化による試みも行っています.
また,さらに,近年では大規模言語モデル(LLM)の発展を背景として,自然言語で記述された運転状況を活用した運転行動モデリングにも取り組んでいます.従来の手法では,天候や時間帯などのコンテクストを離散的なカテゴリとして表現していましたが,実環境における運転状況は道路構造や周辺環境などを含め,多様かつ連続的に変化します.そこで本研究では,「天気は晴れであり,時間帯は昼頃.一方通行の狭い道路である.」といった自然言語による運転状況の記述を,大規模言語モデルによって埋め込み表現へと変換し,双線形逆強化学習に統合することで,より柔軟にコンテクストを考慮した運転行動予測を実現しています.実際の生活道路における走行データを用いた評価実験では,従来の離散的なコンテクスト表現を用いる手法と比較して,熟練ドライバの運転軌跡により近い予測性能を達成し,自然言語によるコンテクスト表現の有効性を確認しています.
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