呼吸波形や換気量といった指標は,健康状態の把握や認知負荷の評価に役立つことが知られています.しかし,これらを計測する従来の方法は,胸部ベルトや医療機器など装着負荷の高いデバイスを必要とし,日常的な測定には適していません.一方,Ultra-Wideband(UWB)は,チャネルインパルス応答(CIR)を用いることで,低負荷で呼吸波形まで計測できる手法として注目されています.
これまでの研究では,UWBレーダを天井や机などに固定して測定する環境設置型の方式[1]が主流であり,ウェアラブル化した際に生じる課題については十分に検討されてきませんでした.
本研究では,日常的に装着し呼吸波形を計測することを目指し,手首装着型UWBを提案します.手首装着では,手の置き方や姿勢に応じてレーダと胸部との距離・向きが異なり,さらに手の動きに伴いセンサ自体が移動するため,これらが呼吸波形推定に影響を及ぼす可能性があります.そこで,これらの要因が呼吸波形推定に与える影響について実験的に検証しました.
被験者の複数の姿勢・動作条件下でUWBの時系列CIRから呼吸波形を推定した結果,静止した特定の姿勢では手首装着型でも環境設置型と同等の復元精度が得られる一方,動作に伴いセンサ位置が変動する場合には呼吸信号が体動成分に埋もれ,精度が低下することが明らかになりました.
— 関連研究 —
[1] T.Zheng+, MoRe-Fi: Motion-robust and Fine-grained Respiration Monitoring via Deep-Learning UWB Radar, SenSys’21
Publications
芝塚 育大, 藤重 凱人, 坪内 孝太, 西山 勇毅, 下坂 正倫.
ウェアラブルUWBの時系列CIRを用いた呼吸推定
情報処理学会研究報告 第88回UBI研究発表会, 兵庫県淡路市, 11 2025.
