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Shimosaka Research Group pursuing MIUBIQ (machine intelligence in UbiComp Research)

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プロジェクト 楽音合成技術にヒントを得た 混雑の生起・継続・終了状態の認識に基づく 混雑寿命予報

楽音合成技術にヒントを得た 混雑の生起・継続・終了状態の認識に基づく 混雑寿命予報

2023/09/25 | プロジェクト | 677 views |

街で開催されるイベントを想像してみてください.例えばイベントがスポーツの試合やコンサートであれば,会場周辺はイベントの開始・終了時に来訪者の往来で混雑のピークを迎えるでしょう. イベント開始時の混雑予報は,ユーザが快適に会場に到着するための指針になりますし,イベント終了時の混雑予報は,ユーザの帰宅時の迂回路の提示や,帰宅にかかる時間の算出に役立ちます.

このように混雑を予報することには,その発生や開始時刻のみならず,終了時刻も予測することが期待されます.一方,既存の混雑予報手法[Anno@SigSpatial’21]では,予報できるのは混雑の開始時点のみでした.そこで本プロジェクトでは,混雑をその発生から終了まで予見することを,「混雑寿命予報」として取り上げます.

多くのイベントでは,事前にイベントの開始・終了時刻がアナウンスされることがほとんどですが,実際の混雑がその通りに起こるとは限らず,またイベントの種類による多種多様な混雑動態の存在が,混雑の寿命予測を困難にしています.例えばスポーツの試合では,イベント開始時刻前に人々が集まり,終了時刻後に人々が去っていきますが,コミックマーケットのような展示会イベントでは,人々はイベント開始時刻より前に集まったかと思えば,イベント終了を待たずに帰宅してしまいます.このような「イベントの種類による混雑動態の多様性」を,統一的な枠組みで捉えるには?これが,本プロジェクトのリサーチクエスチョンです.

[Anno@SigUbi78, Anno@Access2024]ではこの問いに答えるため,楽音合成(シンセサイザー)の枠組みからヒントを得た,混雑状態の導入による活動人口モデリングを提案しています.多種多様な楽音を生成でき,近年のポピュラー音楽に欠かせないシンセサイザーは,ADSRエンベロープと呼ばれる,Attack(音の立ち上がり),Decay(減衰),Sustain(減衰後の維持),Release(解放・余韻)の4状態からなる統一的な枠組みを用いて音量を制御することで,楽音を合成します.この時,ADSRエンベロープの状態の組み合わせ方は,生成したい楽器によって決定します.我々は,「楽器 = イベントの開催地」,「ADSRエンベロープ = 各イベントの混雑動態」と対応させることにより,多種多様な混雑にも人口の「増加」「維持」「減少」という共通点があること,また,それらのフェーズ(=状態)の順番が,スポーツの試合や展示会などといったイベントの種類・開催地によって決まることを見出しました.この発見に基づいて,開催地に応じて人口動態を各状態に分割し,状態変化に応じた活動人口変化を学習する再帰的ニューラルネットワークベースの枠組みを提案しました.

状態に応じた人口変化を模した合成データと,実際のイベント下のデータに基づいて,提案手法が混雑の開始時点のみならず,終了時点までの活動人口推移を,従来の手法よりも正確に捕捉可能であることを確認しました.

さらに[Anno@SigUbi80]では,各状態における活動人口のより精緻なモデル化のために,活動人口の波形を直接学習・モデル化する手法を提案しました.[Anno@SigUbi78]でのモデルでは,各時間帯に状態ラベルを付与することで混雑寿命のモデル化に取り組みましたが,このラベルには活動人口の変化量の情報は含まれておらず,「増加」状態とはいえどの程度活動人口が増加するのかを知ることはできませんでした.

そこで[Anno@SigUbi80]では,活動人口動態と状態ラベルから活動人口の形状パターン(シンセサイザーでいうところのエンベロープ)を抽出し,この形状を学習・描画する手法である,Generative Envelope Depiction (GED) を提案しました.この手法では,形状の描画のために,近年発展著しい生成AIの一種である敵対的生成モデル[Goodfellow+, NeurIPS’14; Isola+, CVPR’17]を活用し,形状パターンの精緻なモデル化と,混雑寿命のより正確な予報を実現しました.

Publications

安納 爽響, 坪内 孝太, 下坂 正倫.
混雑の生起・継続・終了を考慮した状態認識型RNNに基づく早期群衆混雑予報.
情報処理学会研究報告 第78回UBI合同研究発表会, 東京都大島町, 5 2023.

安納 爽響, 坪内 孝太, 下坂 正倫.
敵対的生成モデルに基づく活動人口の波形描画を用いた混雑寿命予報.
情報処理学会研究報告 第80回UBI合同研究発表会, 兵庫県淡路市, 11 2023.

S. Anno, K. Tsubouchi and M. Shimosaka,
Forecasting Lifespan of Crowded Events With Acoustic Synthesis-Inspired Segmental Long Short-Term Memory.
IEEE Access, vol. 12, pp. 87309-87322, 2024, doi: 10.1109/ACCESS.2024.3417509.

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