近年, 電波の到来角度 (Angle of Arrival; AoA) 推定は, 特にWi-Fiパケットから得られるチャネル状態情報(Channel State Information; CSI) を活用した屋内測位システムにおいて,重要な技術として広く注目されています. 従来の手法では, 複数アンテナを備えたMIMO(Multi Input Multi Output)デバイスを利用し, 異なるアンテナ間のパケットの到達時間差を解析するMIMOベースのアプローチが一般的でした.
しかし, MIMOデバイスは生産が終了しており, 入手が困難になりつつあります. 一方, シングルボード型 (Single-input Single-output; SISO) のCSIスキャナは, 正確なAoA推定を行う上で課題があります.
本研究では, 複数のSISOデバイスを一直線状に配置し, 同一Wi-FiパケットからCSIを取得する新しいAoA推定手法を提案します. 取得した測定データを統合し, その後, 学習ベースのAoA推定モデルを適用することで角度推定を行います.
複数の実験により, 本手法が良好なAoA推定性能を達成し, 最適な設定では誤差が4.14度であることを確認しました. また,異なるデバイス数, デバイス間隔, 受信機と送信機の距離の影響を含む, さまざまなデバイス構成についても検証しました.同一直線上に配置されたSISOデバイスの数を増やすことで, より高い性能が得られることを示しました.
本手法は, 容易に入手可能なデバイスを活用しながら高い信頼性を持つAoA推定性能を提供できるため,将来的には無線データパケットからAoA情報を抽出する研究の基盤的実装として活用されることが期待されます.
— 関連論文 —
[1] M. Kotaru+, SpotFi: Decimeter Level Localization Using WiFi, SIGCOMM ’15
Publications
庄 世元, 林 瀚, 坪内 孝太 , 西尾 信彦 , 下坂 正倫
AoA Estimation from Array of Single-board Devices with Single-antenna Wi-Fi chip
情報処理学会研究報告 第85回UBI研究発表会, 大阪府大阪市, 02 2025.
